行政書士が伝える「うちは大丈夫」のその先
2026/07/14
遺言書って本当に必要?
〜「うちは大丈夫」と思っている方にこそ、知ってほしい家族のリアル〜
「遺言書なんて、うちには関係ないよ。だってお金持ちが作るものでしょ?」
「うちは財産も少ないし、子どもたちの仲もいいから、揉めるはずがない。」
ご相談をお受けしていると、このように考えていらっしゃる方は本当にたくさんおられます。
しかし、数多くの相続の現場をサポートしてきた私からお伝えしたい、少し厳しい、けれど大切な現実があります。 それは、実際に相続で悩んだり、ボタンの掛け違いでギクシャクしてしまったりするのは、特別な資産家ではなく、ごく普通の温かいご家庭であることがほとんどだという事実です。
遺言書は、財産を多く持っている人だけのものではありません。 残された愛する家族が、これからもずっと仲良く暮らしていくための「最大の思いやりの準備」なのです。
今回は、「本当にうちにも遺言書が必要なの?」という疑問について、実務の視点から優しくひも解いていきます。
■ 本当に遺言書は必要なのか?
〜「うちは仲が良いから大丈夫」に潜む、すれ違いの種〜
「子どもたちの仲が良いから、話し合いで円満に決めてくれるよ。」
お父さん、お母さんからこの言葉を聴くたびに、本当に素敵で温かいご家族だなと心から思います。 しかし、いざ相続という「その時」を迎えると、子どもたちにはそれぞれ「自分の生活」や「守るべき家族(配偶者や子ども)」という、新たな立場ができています。
・長男:「自分がこの実家を継いで、仏壇やご先祖様を守り続けたい」
・長女:「お父さんとお母さんの介護を、一番近くでずっと支えてきた」
・次男:「自分の子どもの教育資金も必要だし、法律通り公平に分けてほしい」
驚くかもしれませんが、この3人の主張はどれも1ミリも間違っていません。 それぞれが自分の人生を一生懸命に生き、家族を想っての意見だからです。 だからこそ、正解が見つからず、話し合いが平行線をたどってしまうことがあります。
また、「財産が少ないから揉めるはずがない」というのも、よくある誤解の一つです。 たとえば、財産のほとんどが「今お住まいのご自宅(不動産)」だけというケース。
「この家は誰が引き継ぐ?」「売って現金にして分けるべき?」
家は、ケーキのようにナイフできれいに切り分けることができません。 こうした分けにくい財産が一つあるだけで、どんなに仲の良かった兄弟姉妹の間でも、意見がすれ違ってしまうのです。
相続でご家族の心が離れてしまう本当の理由は、お金の多さではありません。 「旅立ったお父さん、お母さんが、本当はどうしてほしかったのか(親の気持ち)」が分からないことにあります。
遺言書は、「私はこういう想いで、この分け方を選んだよ」という、あなたの温かい意思をご家族に届けることができる、唯一無二の手段なのです。
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