行政書士が伝える「親と本人の想いを守る後見制度」
2026/08/10
■ 後見制度とは何か?
〜万が一のとき、大切な人の「権利と生活」を誰が守るのか〜
成年後見制度をシンプルに一言で表すなら、「認知症などで判断能力が十分でなくなった方の、財産や暮らしの権利を法的に守るための仕組み」です。
年齢を重ねる中で、万が一認知症などが進行してしまうと、これまで当たり前に行ってきた日常のさまざまな手続きが難しくなってしまいます。
・銀行での「預貯金の管理・払い戻し」
・生活を支える「介護サービスの契約」や「施設入所の手続き」
・大切な「実家(不動産)の管理や売却」
・各種「重要な契約や法律手続き」
こうした場面で、本人が不利益を被ったり、悪質な詐欺に巻き込まれたりしないよう、社会全体で本人をガッチリ守るために用意されているのが成年後見制度です。
「親のお金だから、子どもが代わりに動かせばいい」の落とし穴
「親が認知症になっても、子どもである自分が代わりに銀行でお金を下ろして、施設の費用に使えばいいだけでしょ?」
ご相談の中で、本当に多くの方がこうおっしゃいます。
子どもとしての「親を助けたい」という温かいお気持ちから出た言葉ですし、その感覚はとても自然なものです。
しかし、実務の現実はそれほど甘くありません。
銀行の窓口で「本人の意思確認」ができないと判断されると、口座は即座に凍結されてしまいます。
たとえ実の子どもであっても、親の口座からお金を引き出したり、定期預金を解約したりすることはできなくなってしまうのです。
また、法律上、「親の財産は、あくまで親本人のもの」です。 いくら子どもが介護費用のためであっても、「認知症の親に代わって、実家を売却して施設入居費用に充てる」といった大きな取引は、子どもの独断では一切できなくなります。
「家族だから大丈夫」という思い込みが、いざという時に手続きの壁となって立ちはだかる。ここをスムーズに乗り越え、親本人の生活を守るために必要なのが後見制度なのです。
後見人は「財産を自由に動かせる人」ではありません
後見人という言葉を聞くと、 「本人に代わって、親の財産を何でも自由に処分できる人」 というイメージを持たれる方がいらっしゃいます。
しかし、ここは行政書士として強くお伝えしたい、最も重要なポイントです。
後見人は、本人の財産を自由に使う人ではありません。 あくまで「本人の利益と暮らしを守るために、誠実に財産をお預かり・管理する人」です。
後見制度は「家族が親の財産を自由に管理・処分するための便利な道具」ではなく、「判断能力が低下した本人を守るための、温かい防護壁」なのです。
この本質を理解しておくことが、ご家族全員が納得できる「失敗しない生前対策」の第一歩になります。
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