行政書士がナビゲートする「2つの後見制度」
2026/08/17
法定後見と任意後見は何が違う?
〜「判断能力が落ちてから探す」か、「元気なうちに自ら選んでおく」か〜
成年後見制度には、大きく分けて「法定後見(ほうていこうけん)」と「任意後見(にんいこうけん)」の2つのルートが存在します。
この2つの違いを、一言でわかりやすくお伝えするならこうなります。
・法定後見: すでに判断能力が低下した後に、裁判所に助けを求めて選んでもらう制度
・任意後見: まだ元気で判断能力があるうちに、自分で将来のパートナーを契約で決めておく制度
同じ「後見」という名前がついていても、そのアプローチや選ばれるプロセスは全く異なります。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
1. 法定後見制度とは?(2026,8月現在)
〜判断能力が低下した後に、家庭裁判所がスタートさせる仕組み〜
法定後見は、すでに認知症などが進行し、自分で契約や手続きをすることが難しくなった段階で利用する制度です。
ご家族などが家庭裁判所へ申立てを行い、裁判所にサポート役を選んでもらいます。本人の状態(判断能力の程度)に合わせて、以下の3つのグループに分類されます。
・後見(こうけん): 判断能力がほとんどない状態
・保佐(ほさ): 判断能力が著しく不十分な状態
・補助(ほじょ): 判断能力が不十分な状態
ここで、ご家族が一番驚かれるポイントがあります。 それは、「必ずしも子どもやご家族が後見人に選ばれるとは限らない」ということです。
「我が家のことだから、当然子どもである自分が後見人になるだろう」と思って申し出ても、本人の財産状況や家族間の関係などを考慮して、裁判所が弁護士や司法書士、行政書士、社会福祉士などの「第三者の専門職」を選ぶケースも多くあります。
2. 任意後見制度とは?
〜自分の未来を、自分の意思でプロデュースする仕組み〜
一方、任意後見は、「本人が元気で、しっかりと自分で判断できるうち」にしか使えない、特別な予防策です。
「もし将来、自分の頭や体が思うように動かなくなったら、信頼できるこの人に財産管理や暮らしの手続きを託したい」
そうやって、自分の意思で将来の後見人(任意後見人)を指名し、あらかじめ公証役場で「公正証書」という頑丈な契約を結んでおきます。
・最大のメリット: 「誰に託すか」「どんな暮らしを望むか」を、元気なうちに自分で自由に決められる
点です。信頼する子どもにお願いすることも、私たち行政書士のような専門家に託すこともできます。
なお、任意後見契約を結んだからといって、すぐに財産管理が始まるわけではありません。将来、本人の判断能力が低下したタイミングで家庭裁判所に申立てを行い、裁判所が「任意後見監督人(見張り役)」を選任して初めて、正式にスタートします。
どちらを選べばいいの?
👉 スタート地点が「今、元気かどうか」で決まります。
・すでに認知症などが進行している場合: 選択肢は「法定後見」になります。
・今はまだ元気で、自分で判断できる場合: 自分の未来を自分でプロデュースできる「任意後見」を検討できます。
ここで大切なのは、「いつ、どのように備え始めるか」です。
自分の財産や人生の仕舞い方を自分の意思で決められるのは、心が元気な「今」しかありません。
「自分にはどちらが必要かな?」と迷われたら、まずは現状の整理から一緒に始めてみませんか?
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