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行政書士が伝える「家族信託」のメリットと知っておくべき注意点

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行政書士が伝える「家族信託」のメリットと知っておくべき注意点

行政書士が伝える「家族信託」のメリットと知っておくべき注意点

2026/09/07

② 家族信託のメリットと注意点

〜とても便利な制度だからこそ、「万能薬」ではないことを知っておく〜

 

家族信託には、これまでの制度にはなかった非常に魅力的なメリットがたくさんあります。

特に「認知症になった後の財産管理」という大きな不安に対して、とても柔軟に対応できるのが最大の強みです。

 

まずは、代表的な3つのメリットから見ていきましょう。

メリット1:将来の財産管理に「先手」を打てる

  「将来、もし認知症になったら実家はどうしよう……」

  「施設に入ることになったら、入居一時金や毎月の費用はどうやって払おう?」

  「所有している賃貸アパートの管理や家賃の集金ができなくなったら……」

 

こうした将来の懸念に対して、家族信託なら「本人が元気なうち」に解決の仕組みを作っておくことができます。

万が一、本人の判断能力が落ちてしまった後でも、事前に結んだ契約内容に従って、サポート役(受託者)がスムーズに預金の引き出しや手続きを進めることができます。

 

メリット2:信頼できる家族を「サポート役」に指名できる

家族信託では、「自分の財産を誰に託すか」を自分自身で決めることができます。

  「同居してくれている長男にお願いしたい」

  「しっかり者の長女をサポート役にしたい」

 

このように、自分の意思で信頼できるご家族をサポート役に選べる点は、家庭裁判所が選任する法定後見制度とは大きく異なる、家族信託ならではのメリットです。

 

メリット3:不動産を持っている方には、特に強力な味方になる

家族信託を特におすすめしたいのが、不動産(ご自宅・賃貸アパート・貸店舗・土地など)を所有されている方です。

 

不動産は預貯金と違って、「維持管理する」「老朽化したら修繕する」「人に貸す」「売却する」といった、複雑な判断や契約作業が常につきまといます。

 

本人の判断能力が低下してしまうと、名義人である本人以外は売却も修繕契約もできず、不動産が「凍結」してしまいます。元気なうちに不動産の管理権限を家族に託しておくことは、大切な資産を守る上で非常に有効な手段となります。

 

■ ただし、家族信託は「万能薬」ではありません!

ここまでメリットをお伝えしてきましたが、行政書士として一つ、大切な注意点をお伝えしなければなりません。

 

それは、「家族信託さえしておけば、将来の認知症対策・老後対策はすべて完璧!」というわけではない、ということです。

 

家族信託を成功させるためには、以下の3つの注意点を理解しておく必要があります。

注意点1:「綿密な契約設計」が必要(あげるだけではダメ)

家族信託は「とりあえず子どもに名義を変えておけばいい」という単純なものではありません。

   「誰をサポート役にするか?」

   「どの財産を託し、どの財産は手元に残すか?」

   「何のために管理してもらうのか(目的)?」

   「サポート役にどこまでの権限を与えるか(売却まで許可するか等)?」

   「本人が亡くなった後、信託をどう終了させるか?」

 

これらを、ご家庭の事情に合わせてオーダーメイドで細かく設計する必要があります。

中途半端な設計で作ってしまうと、後から「こんなはずじゃなかった」と困ることになりかねません。

 

注意点2:家族間の「オープンな信頼関係」が大前提

家族信託は、特定のご家族(たとえば長男さん)に財産の管理権限を集中させる仕組みです。

もし、他のごきょうだいへの説明がないまま進めてしまうと、後から「なぜお兄ちゃんだけが財産を自由に動かせるの?」「何か隠しているのでは?」と、親族間の大きなトラブルに発展してしまう恐れがあります。

 

家族信託をスタートする際は、ご家族みんなで集まり、「なぜこの仕組みを作るのか」「お父さん(お母さん)の安心のためなんだ」という趣旨をオープンに共有しておくことが何より大切です。

 

注意点3:財産管理しかできない(身上保護はできない)

家族信託は、あくまで「財産を管理するための仕組み」です。

そのため、サポート役になったご家族であっても、医療行為の同意をしたり、介護施設との契約を本人の代行として結んだりするような「生活や身の回りの手続き(身上保護)」の権限までは持てません。

 

だからこそ、「家族信託さえすればOK」と考えるのではなく、身の回りの手続きをサポートする「成年後見制度」や、亡くなった後のバトンパスを決める「遺言書」など、他の制度と上手に組み合わせて活用することが大切なのです。

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